高齢化が進む日本では認知症等の増加により様々な相続トラブルが起こっています。
従来では「成年後見人制度」などが活用されてきましたが、平成19年に改正信託法が施行され財産管理や遺産の承継を家族に託すことが出来るなどの非営利信託が利用出来るようになりました。
委託者・・・財産の所有者であり財産管理を他人に委託する人。
受託者・・・財産管理を託された、契約に基づき委託者に代わって財産の管理を行う人。
受益者・・・財産から生じる利益を受け取る権利を持つ人。
例えば、親(委託者)の賃貸物件を子(受託者)に管理を任せ家賃収益は親(受益者)が受け取る形の信託契約を交わします。
そうすることにより、親の認知症等による物件の管理の心配は無くなり、親も今まで通りの収益があるので収入面で心配しなくても良いことになります。
◆ 家裁などの監督下で相続対策等が出来ないなど、負担と制約が多い成年後見制度と違い本人の意向に沿った柔軟な管理ができる。
◆ 財産管理において判断能力の低下・喪失による不安がなくなる。
◆ 遺言で出来ない二次相続、三次相続に備えられる。(後継ぎ遺贈型受益者連続信託)
◆ 成年後見人でなければ適切な身上監護ができない部分がある。
◆ 信託財産から生じる不動産所得の損失は損益通算できない。
◆ 何世代にもわたり、長期に資産の処分に制限がかかりかねない。
巷では、2015年の相続税の改正により「遺産分割対策」「納税資金対策」「相続税対策」のうち「相続税対策」ばかりに目が向いているように思われます。
それより争族問題にしない事、納税資金を確保する事の方が大事ではないかと思います。
そういった事も踏まえて遺言書の作成とともに「民事信託」も検討されてみてはいかがでしょうか。