保険金は、受取人に指定されている者のみしか保険を請求できないことは、皆さまご承知のことと思います。どのような保険に入っているかの照会はもちろんのこと、保険を請求するにあたり用紙を送ってもらうことさえも、受取人からの問い合わせでないと取り合ってもらえません。
では、受取人がご病気等で請求できない状況、又は受取人が保険の存在を知らない場合はどうなるかご存知ですか?答えは、保険会社によるとは思いますが、保険金が支給されることはなくそのままです!(死亡保険金で、被保険者がお亡くなりになられたことが分かっている場合は、保険会社が調査して受取人への連絡を努力するようですが・・)
受取人が認知症等を患い、本人の意思表示ができない場合には、成年後見制度を活用し受取人の代わりに後見人が保険金請求の手続きを行うことができます。成年後見制度とは精神上の障害 (知的障害、精神障害、認知症など)により判断能力が十分でない方が不利益を被らないように 家庭裁判所に申立てをして、その方を援助してくれる人を付けてもらう制度で、被後見人の財産を守ることを主な目的としています。
成年後見制度は、事前に後見人を立てていなければ、まず後見人を立てる手続きが必要になります。即日に後見人を立てられるわけではなく3~6か月ほど時間がかかります。その結果、保険金受取までに時間がかかり、受取人本人が必要なときに自由に使えない等の問題も生じます。また、後見人はまったくの他人がなることもあり、被後見人がどこのどんな保険に入っていることを知れる状況とは限りません。
高い保険料を無駄にしないために、被保険者と受取人が異なる場合は、保険証券または保険内容通知書のコピーを受取人に、または信頼のおける方に渡しておいてください。保険会社や番号等がわかると受取が確実になります。
介護保険など、被保険者と受取人が同一の場合は、指定代理請求特約を付けてください。指定代理請求特約とは、本来の受取人が何らかの理由で請求できない事情があるときに、あらかじめ指定された指定代理請求人が受取人に変わって請求できる特約です。ただし、各社各保険により特約を使うことが出来ない場合があります。詳しくは保険会社にお尋ねください。
また、受取人を変更することも一つの手立てですが、変更することによって税金が生じる場合があります。安くない保険料、確実に保険金を受け取れるようにご家族、または当事務所にご相談ください。