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在職老齢年金制度を巡る議論

はじめに

働く高齢者の年金を減額する在職老齢年金制度の見直し議論が行われています。
現在の制度では、厚生年金と賃金を合わせた金額が65歳以上は月47万円超、60歳から64歳は月28万円超になると
年金が減額されることになっています。

 

背景

厚生労働省の調査では、年金が減額されないように調整する人が65歳から69歳でも4割近くおり、
高齢者の就労意欲を阻害しているとの指摘があります。
政府は、70歳までの就労機会の確保を企業の努力義務とする方針を立てており、長寿社会に備えようと考えています。
保険料を納める人を増やしたい、年金受給開始を75歳まで先送りできるようにしたい、基礎年金の支払期間を40年から
45年にしたいという考えがあります。高齢で働く人が増えれば、年金や医療の保険料を納める社会保障の担い手が
増えることになります。

最後に

65歳以上で厚生年金の支給が停止されている人は現在36万人、受給者の1.4%です。
このような高齢者は収入面では恵まれているといえるでしょう。
年金財源の厳しさが増す中で給付を増やすことへの疑問や、現役世代の将来の給付水準が下がってしまう懸念もあります。
厚生労働省が10月に示した当初案は、65歳以上、60歳から64歳ともに月62万円に引き上げるというものでした。
これが高所得者優遇との批判を受け、議論は二転三転しており、与党の理解が得られない場合、制度を見直さずに現状の
47万円で維持することも視野に入れるとのことです。年内の具体策の取りまとめに向け、今後の動向が気になるところです。