2020年分の路線価が7月1日に国税庁から発表されました。
全国約32万地点の標準宅地の路線価は2019年比で1.6%のプラス、5年連続の上昇です。
最も上昇したのは沖縄県那覇市の国際通りで40.8%、次いで大阪の梅田付近の御堂筋で35%の上昇率とインバウンド効果の高い地域などで大幅な上昇がみられます。
全体としてもこれらの数値に引っ張られ、おおむね上昇傾向にあるといえます。
しかし国税庁は、今回の路線価が新型コロナウイルスによる経済変化の影響を加味していないことから、今秋公表される「基準地価」等において広範な地域で大幅な下落が確認された場合、20%以上の下落が確認された地域を指定して路線価等を補正する方針であることを明らかにしています。
これまでも、昨年の台風19号時等で時価下落を反映した「調整率」を乗じて計算された例があります。
国(国土交通省)が1/1時点で評価、3月下旬に発表する「土地の値段」
公示価格と意味合いは同じですが、都道府県が7/1時点で評価、9月下旬に発表する「土地の値段」
国税庁が1/1時点で評価、7/1に発表する「土地の値段」
(路線価は公示価格の8割程度となっています。)
8/17日に内閣府が発表した今年4~6月期のGDP速報はマイナス7.8%、年率換算でマイナス27.8%となりました。
これはリーマン・ショック後のマイナス17.8%を超える戦後最大の落ち込みで、日本経済の緊急事態であります。
基準日が7/1の基準地価は新型コロナウイルスの影響後の数値なので大幅に下落する可能性があり、場所によっては路線価と基準地価の逆転現象が起こりえます。
路線価は公示地価・基準地価のおおむね80%程度の価格に設定されるものなので、本来あってはならない事態です。
9月の基準地価の発表が注目されます。
これまで災害が原因による調整は行われてきましたが、こうした感染症による路線価の見直しは過去に見られなかったと思います。
ぜひ、相続や贈与の可能性がある方が実態よりも高い評価で税金を支払うことにならないようにしてほしいものです。