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「GAFA ネクストステージ」を読んで

きっかけ

著者はニューヨーク大ビジネススクールの教授であり、大企業の役員や9つの会社の起業も経験し、GAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)という言葉を定着させた人物でもある。
日々の生活において、これら4社のうち少なくとも半分は使わずに過ごせない現在、個人情報を吸い取ることで世界を牛耳る巨大IT企業に対抗できる術はあるのか?気になって、読んでみることにした。

内容

こういった企業についてメディアで取り上げられない日はないが、左程気にしたことはなかったので、改めて企業として過去の経緯や姿勢、今後の見通しを知ることが出来た。
特に今のコロナの状況下でこれまで以上に莫大な利益を上げ、過去のスピードとは比べ物にならないほど早く自社の株価を上げている。
4社ばかりでなく他の様々な企業・業界をデータに基づいて解説し、パンデミックがきっかけで、もしくはそれ以前からあった問題を指摘している。
強者が更に強くなり、弱者が更に弱くなる、あるいは死に絶える。
その責任は企業だけにあるのではなく、アメリカの社会制度そのものが持てる者を優遇する仕組みになってしまっているらしい。
若いころ持っていた「カッコいいアメリカ」というイメージはさすがにないが、それでもアメリカという国が持つ闇の深さを垣間見た気がする。
著書では、大き過ぎるGAFAに対抗するには、政府を強くするしかないと、政府を立て直すためのアイディアが挙げられている。

読み終えて

ITにも世の中にもましてアメリカ社会にも疎い自分にとっては、全編に使用されるカタカナ用語や企業名を理解するのは本当に大変で、これまたiPhoneを使用して検索しながら読み進めざるをえなかった。
「データマイニングのために顧客を商品化することはない」と公言するアップルを選ぶことはましな選択である、と思えたら良いがそうでもない。

現代の生活において、1ユーザーとして求める利便性ゆえに、結局は巨大IT企業に欲望をコントロールされ、餌食として搾取されてしまう(お金を支払わされる)という結果は、個人レベルでは如何ともし難い。
それならば開き直って、収集される個人情報などあまり気にせず自分のやりたいことをするしかないだろう。
ともあれ大成功者である著者が貧しかった子供時代の感覚を忘れず、持てる側に与しない姿勢だけは救いがあった。

(総務-B 記)

GAFA next stage ガーファ ネクストステージ 四騎士+Xの次なる支配戦略より
(著)スコット・ギャロウェイ (訳)渡会圭子 (出)東洋経済新報社