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令和6年度税制改正

はじめに

令和6年度税制改正は、令和5年10月の「成長の果実を国民に還元する」という総理の発言に基づく定額減税(詳細は前月号にて)を皮切りに、
1つ目の柱として経済を成長軌道に乗せる措置、
2つ目の柱として中長期的な成長を促進するための税制の創設、
3つ目の柱として子育て世帯を支援する改正となっています。
今回は主要改正項目のうち、中小企業にとって比較的関心が高いと思われる改正をピックアップしてご紹介します。

改正内容

①賃上げ促進税制(令和6年4月1日から開始される事業年度より)

制度の大枠は変わらず、雇用者の給与総額が前年と比べて増加すれば税額控除されます。
増加率は1.5%以上からとなり、また赤字企業にとって賃上げがインセンティブになるよう、賃上げ年度に控除しきれなかった場合は、5年間の繰越が可能となる措置が創設されました。

②交際費の損金不算入制度(令和6年4月1日より)

これまでは、1人5,000円以下の飲食費は交際費の範囲から除かれ、損金(税金を計算する上での経費)でした。
昨今の物価上昇を背景に、金額基準が10,000円以下まで引き上げられました。
なお、中小企業では800万円までは損金となる枠組がありますが、この金額に変更はありません。

③経営セーフティ共済(倒産防止共済)(令和6年10月1日以降の解約より)

倒産防止共済は、取引先が倒産した際に連鎖倒産を防ぐため、掛金の最高10倍まで借入ができる制度です。
掛金の全額が損金にできることや一定期間納めていると掛金全額が戻ることから節税対策としての側面も持っていました。

現行は、解約した年度に再契約をすることで、解約手当金と掛金を相殺できますが、今回の改正でメスが入りました。
改正後も再加入は可能ですが、掛金は解約日から2年間は損金にはならない、つまり相殺処理ができなくなりました。

さいごに

政府の経済財政政策の方向性を決める骨太方針2023に、退職所得課税制度を見直す案が示され驚きましたが、今回の改正では盛り込まれませんでした。
年金制度の変更の議論が今夏から始まるということで、その変更と一緒に見直すべきとして見送りとなったようです。

勤続年数によって控除額が大きくなる現制度は、終身雇用制度が崩れつつあるなかで問題提起として理解できるものの、人生設計の修正が必要になるので拙速な結論にならないためには今後も注視していく必要がありそうです。