2017年1月から、従来の医療費控除制度の特例として「セルフメディケーション税制」という新しい医療費控除制度が開始されました。これまでの医療費控除とは違い、スイッチOTC医薬品を年間12,000円以上購入し、一定の取組みをした場合に所得控除を受けられる制度です。既にスタートしている制度ですが、まだあまり知られていないようなので、お知らせしたいと思います。
スイッチOTC医薬品とは、市販薬(要指導医薬品および一般用医薬品)のうち医療用から転用された特定成分を含む医薬品のことです。詳しい販売名等は厚生労働省のホームページに掲載されています(1/17時点 1577品目)。その他に、対象製品の多くに下のような識別マークの表示や、レシートに対象製品であることが印字されるなどの対応がとられているようです。
この医療費控除を受けるためには対象医薬品の購入だけではなく、その申告年度中に納税者本人が以下にあげる「一定の取組」を行っていることが条件となります。
① 健康保険組合や市町村国保等が実施する健康診査(人間ドック、各種検診等)
② 市町村が健康増進事業として行う健康診査
③ 予防接種(定期接種又はインフルエンザワクチン等)
④ 勤務先で実施する定期健康診断
⑤ 特定健康診査(メタボ検診)、特定保健指導
⑥ 市町村が健康増進事業として実施するがん検診
セルフメディケーションとは「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すること」と世界保健機構(WHO)で定義されています。
平均寿命が長くなり、生活習慣病などが増加傾向にある現代において、医療費や介護費の高騰が問題となっています。症状が軽いうちに自分で対策をし、疾患の重篤化を防いだり遅らせたりすることで、医療費を抑制し、現在の医療制度を維持するのが狙いのようです。
なお、この特例は従来の医療費控除との併用はできませんのでご注意ください。