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平成29年度税制改正で、取引相場のない株式の評価について見直しが行われ、相続税法の時価主義の下、より実態に即した評価方法となりました。
<改正前>
$$類似業種の上場企業の株価×\frac{配当比準値+利益比準値\times3+簿価純資産比準値}{5}×斟酌率$$
<改正後>
$$類似業種の上場企業の株価(A)×\frac{配当比準値+利益比準値+簿価純資産比準値}{3}×斟酌率$$
斟酌率:大会社0.7 中会社0.6 小会社0.5
1.類似業種の上場企業の株価(A)について「前2年間平均」を選択可能に
上場企業の株価の上昇局面での急激な変動を中小企業の株価にそのまま反映せず平準化するため、
課税時期以前3ヵ月間の各月の株価と前年平均株価に加えて、課税時期以前2年間平均株価が選択
できるようになりました。
2.類似業種の上場企業の3つの比準要素(配当、利益、簿価純資産)について連結決算を反映
上場企業の子会社を含めたグローバル経営を反映した評価に見直されました。
3.配当、利益、簿価純資産の比重を1:1:1に
改正前の比重は1:3:1で利益が重視され、他の比準要素の3倍となっていました。
この改正により、利益が株価に与える影響は少なくなるため、業績が好調な企業にとっては、
以前より株価下落効果が期待できます。
一方で、多額の損失計上をしても、以前ほど株価下落効果は期待できません。
また、比重の見直しに伴い、算式の分母の数字も5から3へと変更されたため、
簿価純資産が大きい企業では株価が上昇する可能性があります。
4.大会社及び中会社の適用範囲の拡大
中会社の株式評価方法である併用方式の類似業種の割合が高まることで、
時価純資産(含み益)が大きい中会社の株価を抑える効果があります。
この改正により、全体平均で約1割程度株価が下がる見込みだそうです。
この機会に一度、自社株式の算定をして、来たるべき相続や事業承継に備えましょう。
ご依頼は当法人まで。