欧米で生まれたシェアリング・エコノミーというサービスが日本でも徐々に認知され、新しいビジネスモデルとして市場を拡大してきています。
シェアリング・エコノミーとは『個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービス』と総務省では定義しています。
海外ではスマートフォンのGPS機能(位置情報)を活用しタクシーや個人所有の車を配車する「Uber(ウーバー)」や、空き部屋等を宿泊施設として貸し出す「Airbnb(エアビーアンドビー)」が、この新しいビジネスモデルの先駆者として知られています。
日本では、ここ数年の間に随分と浸透してきたサービスとして「カーシェアリング」や「シェアハウス」が、他には今年6月15日施行の住宅宿泊事業法(民泊新法)により全面解禁される民泊が一般的に認知されているサービスではないでしょうか。
得意なことや能力を生かすスキルシェアリングの分野では、家事やベビーシッター、相談や占い、イラスト作成等が主婦や若者の間で市場を拡大しつつあるようです。
提供する側は遊休資産の活用、自分の能力を生かす場所の確保、空き時間の有効活用等のメリットがあります。サービスを受ける側のメリットは資産を所有せず利用できることや、業者に依頼するよりも安価で気軽にサービス提供を受けられること等が挙げられます。
デメリットとして一番に挙げられるのが安全性の確保です。個人間の取引が多いことや仲介業者はベンチャー企業が多いことから、トラブル発生時の対処が十分でないことが不安要素として大きいようです。
欧米から入ってきたビジネスモデルのため日本の法整備が整っておらず、グレーゾーンの事業がサービス提供されている場合があり、法令を遵守している既存業者を脅かす存在でもあると言われています。
また、シェア(共有)するということは消費者が製品を購入しなくなるということで、個人消費の減少につながり経済にとってマイナス面もあるといえます。
政府が推し進める「働き方改革」の一環で副業・兼業を普及促進していることから、シェアリング・エコノミーは更に注目を集めるビジネスになると言われています。
メリットのみに注目し普及させるのではなく、まずは問題点を洗い出し早急な対策や法整備をすることが喫緊の課題と言えるでしょう。