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経営者保証の提供を不要とする信用保証制度

はじめに

企業が倒産して融資の返済ができなくなった場合、経営者個人が企業に代わって返済すること(経営者保証)が求められます。
経営者保証には、経営への規律付けや資金調達の円滑化に寄与する面がある一方で、思い切った事業展開や早期の事業再生、円滑な事業承継を妨げる要因となっているという指摘があります。
これらの課題の解決策として「経営者保証に関するガイドライン」が策定されましたが、依然として信用保証制度における融資の7割で経営者保証が使われています。
そこで経済産業省が新たに保証料を上乗せすることで、経営者保証の提供を不要とする信用保証制度が設けられましたのでご紹介いたします。

要件

次の要件のいずれにも該当すること※

①過去2年間(法人の設立日から2年経過していない場合は、その期間)において決算書等を申込金融機関の求めに応じて提出していること。

②直近の決算において代表者への貸付金等がなく、かつ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと。

③直近の決算において債務超過でない(純資産の額がゼロ以上である)こと又は直近2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字でないこと。

④上記①及び②については継続的に充足することを誓約する書面を提出していること。

⑤中小企業者が保証料率の上乗せにより保証人の保証を提供しないことを希望していること。

※法人の設立後最初の決算が未了の者の場合にあっては①から③までに掲げるものを、法人の設立後最初の2期分の決算が未了の者にあっては③に掲げるものをそれぞれ除く。

保証料

・上記要件3.の両方を満たす場合には信用保証協会所定の保証料率に0.25%上乗せ。

・上記要件3.のいずれか一方を満たす場合又は法人の設立後2事業年度の決算がない場合には信用保証協会所定の保証料率に0.45%上乗せ。

・保証料を国が補助する時限措置があります。

2025年3月末までの保証申込分は0.15%に相当する保証料
2025年4月から2026年3月までの保証申込分は0.10%に相当する保証料
2026年4月から2027年3月までの保証申込分は0.05%に相当する保証料

さいごに

「経営者保証に関するガイドライン」では、法人のみの資産や収益力等といった要件を基に金融機関との交渉により経営者保証を外すという少し基準の曖昧なものでした。
しかしながら、今回要件がより明確となったことで経営者保証を外される方が増えるのではないかと思います。
経営者保証の解除をお考えの方は、金融機関へご相談にいかれてはいかがでしょうか。