偽造されたお金が出回らないように、そうしたことを防ぐため、紙幣については概ね20年毎に改刷を行ってきました。そうした中、現在発行している紙幣は、2004年発行を開始して以来20年が経過し、①その間に民間の印刷技術が大幅な進歩を遂げていること、②目の不自由な方や外国人のためにも、ユニバーサルデザインの考え方を踏まえた紙幣デザインが世界の潮流であること、などを踏まえ、より偽造しにくく誰にとっても使いやすい紙幣とするため、壱万円・五千円・千円の3券種の改刷を2024年7月3日実施することになりました。
タンス預金は100兆円あるともいわれています。
タンス預金をするのは、①そもそも好きな時に現金が使え、②銀行の破綻から資産を守れ、③相続発生時に口座が凍結されても困らない、④国に財産を把握されない、などの理由からと思われます。
しかし、①盗難にあう、②火事などの災害にあう、③年を取ってどこにしまったかわからなくなる、④相続時にトラブルになるなどの問題があります。
新札とタンス預金の両替で税金はかかりませんが、眠らせているタンス預金そのものに税金がかからないとは言えません。
国に把握されないと思っていても、税務署に見つかるケースも多いです。
そもそも贈与税・相続税の時効は悪質な場合は7年になりますが、タンス預金を被相続人の財産(いわゆる名義財産)に認定されると時効はなく、相続財産として課税されます。
相続税の税務調査でもほぼ名義財産の確認が中心となっており、被相続人の所得と不動産を除く相続時の金融資産の乖離があると当然タンス預金等の名義財産も疑われ、ほぼ10年程度さかのぼって入出金を調査されます。
結果、出金履歴に見合う内容の説明が出来なければタンス預金として課税されることもあるのです。
政府は新札を発行することにより、タンス預金の一部が消費や投資に回り経済を循環させると期待するのと同時に、財産のあぶり出しをする狙いもあります。
マネーロンダリング対策として、犯罪収益移転防止法では200万円を超える現金の入出金・両替時には取引確認(本人確認書類の提示、職業、取引の目的、資産・収入の確認)が必要となり、またマイナンバーによる各種紐づけや、財産債務調書の提出義務など個人の財産情報は丸裸にされてきています。
新札発行が近づき、タンス預金についての御相談が増えてきましたが、国に把握されることは逃れにくくなってきています。
葬儀費用など維持管理程度の金額に抑え、身内の方に金額を伝えたうえで、きちんと申告が必要な時には申告するのが一番かと思います。